スコープのピントを合わせるためのマニュアル
Posted 07/10/2024
*日本語ホームページに掲載されていた技術情報をこちらに移管しました。
射撃をしていると、ほとんどの人が「スコープのピント合わせがちゃんとできているか?」と思うことがあるかと思います。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は4つのステップをチェックする必要があります。下記のマニュアルを参考にして、更にシャープな像で射撃を楽しんでください。
(1)接眼レンズを適切な視度に調整する
接眼レンズを調整するのは、人によって異なる視度を適切に設定することで、「レティクル」をくっきりと見やすくするためです。接眼レンズの調整は、ライフルに装着する前でも後でも可能ですが、近くの壁や白紙を見やすくするために、装着前に行うことをお勧めします。
- 接眼部本体を反時計回りに回転させ、自由に動くようにします。
- サイドフォーカスを無限遠に設定してください。
- 最も低い倍率に設定してください。スコープの倍率が低いほど、レティクルの表面に入ってくる光が多くなります。人間の目は、明るい方がより鮮明に焦点を合わせることができます。
- 特徴のない白い壁や白紙などを、できれば約10~20cm離れたところで見てください。
- 視度の設定は-2~+2まで調整できます。近視の方は、接眼レンズ本体を-方向に反時計回りに回転させてください。遠視の方は、接眼レンズ本体を+方向に時計回りに回してください。度付きのメガネをお持ちの方で、射撃時にメガネをかける場合は、メガネをかけたまま調整することをおすすめします。
- 調整中にレティクルを数秒以上見つめないでください。レティクルが最も鮮明に見えるようになるまで、何度も素早く調整してください。
- レティクルの焦点が合ったら、ロッキングリングを反時計回りに回転させ、接眼部本体に突き当たるまで回してロックします。接眼部を最適な位置に設定した後は、視力が変わらない限り設定を変更しないでください。
(2)リングの取り付け位置
リングがスコープのカーブに近いと、内部のパーツの動きが制限されてしまいます。リングは赤い部分に取り付けてください。
(3)リングのトルク値
リングを締めすぎると、スコープの内側の可動部がスムーズに動かなくなる場合があります。内側の動きが悪くなると、ピントを正しく合わせることができません。そのため、必ず推奨トルク値を守ってください。
(4)サイドフォーカスの調整
サイドフォーカスを調整する目的は、”標的 “をはっきりと見るためです。(1)で説明したように、レティクルをはっきりと見るためには視度調整が必要です。
- 一番高い倍率に設定してください。(※下記注2)
- サイドフォーカスを目標物がよく見える位置に調整してください。
- 正しく調整できたと思ったら、スコープを覗いて頭を動かしてみてください。目の位置によって標的の像とレティクルが一致しない場合、標的とレティクルがずれていることになります。このように、レティクルの位置に目標像が合わないことをパララックスといいます。パララックスがある場合は、サイドフォーカスを再調整し、それでもうまくいかない場合は、視度を再調整してからサイドフォーカスを調整し直してください。
(注1)サイドフォーカスの印は、回転方向を示しています。人によって視度が異なるため、サイドフォーカスは射手ごとに異なる位置に設定されます。そのため、サイドフォーカスには数字がありません。低倍率のスコープでは、10ヤード以下の近距離にピントを合わせることができるものもあります。
(注2)焦点深度とは、像面を移動させてもシャープさを保てる範囲のことです。一般的には、対物レンズの直径が小さく、使用する倍率が低いほど焦点深度は大きくなります。低倍率になると焦点深度が深くなり、標的の手前から向こうまでの広い範囲でピントが合うようになります。そのため、高倍率でズームアップすると、焦点がずれて像がぼやけてしまうことがあります。一方、最高倍率では焦点深度が浅くなり、狭い範囲にでントが合うようになります。倍率を下げても焦点がずれることはなく、画像がぼやけることもありません。
これで準備は万端です。ぜひ射撃を楽しんでください(^^)